あなたの歌がききたくて。

小説とVOCALOIDと知らない人のことばが好き。

高座で喋り倒す人たちが渋谷に春を呼んだ…のか。

 こんばんは。
 日曜に落語会に行ってきたので、忘れないうちにその話をしたいなーと思います。

 またカテゴリを増やしてしまったわけですが。小説とボカロと落語が好きで仕事の話はまったくしない社会人…どうなんですかね。キャラがぶれすぎですか。
 とりあえず、もうちょっと頻繁に更新して、興味のあるところだけ拾って貰えたらなーと思っております。フォローリムーブお気軽にどうぞ。(ってブログでも言うのかなぁ…)



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 本日の渋谷、昼の気温は16度くらい。ハチ公前の桜がきれいでした。
 東急東横店の前で工事していました。なんだろう。

 行くのはこれです。
shibuyanifukukitaru-special.com
 
 「毎日新聞落語会・渋谷に福来たるSPECIAL」。
 これ、2012年から毎年、春になるとやっているんですが。「~落語フェスティバル的な~」とかいうゆるい名目で、いくつかのテーマを設けてそれぞれに人気の噺家さんを招いてぱーっとやる、人気イベントなんです。(…あくまでジャンル内比なので、フジロックとかと比べないようにw)
 行くのは今年が3回目でしょうか。

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 セルリアンタワーの向かい辺りが、本日の会場。
 「渋谷区文化総合センター大和田」。名前の座りが悪くて覚えづらい。ついでにエントランスが長いw
 (これは帰り際に撮った写真なので、センター本体は見えてません)

 本日の登場人物、もとい噺家さんは以下の方。(順不同)
 
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 柳家喬太郎(やなぎやきょうたろう)師匠。ニコニコしながら、毒のあるマシンガントークを繰り出してくるテンポが堪りません。もはや、高座にあがるだけで観客が笑うレベルに達している人気落語家。
 古典のほうを貼ったのは、震災のすぐ後、初めて聞いた落語がこれだったので。アレでハマったんですよねえ…その話はまたいずれ。

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 三遊亭白鳥(さんゆうていはくちょう)師匠。演られているのは新作がメイン。ずっと年上の方にこんなこと言ってはなんですが、パーティピーボーっぽいイメージがあります。すごく分かりやすい方というか、腹の中に何もなさそう。嘘がすぐバレそう。
 なんて言いながら、寄席での三題噺で勇名を轟かせてたり。新作演っている方はやっぱり、回転の速さが並じゃないですね。

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 林家彦いち(はやしやひこいち)師匠。見た目、いかにもガチガチの古典派の方で皮肉っぽかったりするのかなーと勝手に思っていたんですが、むしろ良心、バランサーっぽいですね。このメンバーだと余計に、堅実感が際立つというか。(…)
 一応いまwikiったんですが、学生時代は不良だったって本当ですか!? 気になる…めっちゃ気になる。

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 三遊亭粋歌(さんゆうていすいか)さん。三味線のお師匠様みたいな、柔らかい感じの方ですが、ネットで調べたら以前は長く会社勤めされていたらしいです。現在は二ツ目。受け売りで経歴を書くのも何なので詳しくはGoogle先生へ。
 …この動画、お二人ともすごくいい笑顔ですね。こういう方が無条件に好きですわたしは。


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 演目の写真を最初に貼っちゃうのどうなんですかね…いや、分かりやすいかと思って…。
 客層は、やはり新作というのもあってか、若い人も多く見受けられました。


★鼎談★

 めくりにはしっかりと「おしゃべり」って書いてありました。ゆるい。…他のグループでもこうだったのか、このメンバーだからそうなったのかが気になる。(昨年まではどうだったかは鳥頭なので覚えていません)
  
 「どうも、(何て言ってたか忘れた)」
 「…落語界のショーン・K、三遊亭白鳥です☆」
 (二人でじっと彦いち師匠を見つめる)
 「……久米宏です」

 そんな感じで始めてました。
 喬太郎師匠が紋付袴(かな?)、白鳥師匠がいつものジャージみたいな青いお着物、彦いち師匠は灰桜色というんでしょうか、きれいな淡い色の着物でした。これがあとで悲劇になるんですけど。

 話の中身…何だったかなあ。彦いち師匠がタクシーに乗って、「アイーダ」の出演者と間違えられた話くらいしか覚えてないですね。…彫りが深い顔立ちが仇になった的な? 白鳥師匠のお弁当の異臭騒ぎとか。
 あと、白鳥師匠が新潟の落語会に行った話。笑点に出ている噺家さんが2人と、白鳥師匠という組み合わせ。新潟出身で、地元の有名人ということもあってか(多分)呼ばれたにも関わらず、「来週から笑点に出演します、三遊亭白鳥です!」とやったところ、大きな拍手をもらってしまった由。しかたないので「エイプリルフールです」とごまかした、とか。

 最後、めくりを喬太郎師匠がめくって、座布団も裏返して、出て行きました。ハケる寸前に「おつかれさまですッ!」って上手に向かって叫んでました。客席大爆笑。
 べつに前座さんがいなかった訳じゃなく、次からは普通に前座さんがやってましたので、ファンサ的なアレだったのではないでしょうか。ありがとうございます…。さすが…。

 以下、貼ってあった演目の書き方で記載します。


★すぶや 粋歌★

 田舎の高校生の男女。東京の大学に受かったら、あれもこれもしよう…と夢見る彼女に対し、あれこれと引きとめようとする彼氏。掛け合いがかわいい。東京で派手になって帰ってきた近所のお姉ちゃんを、「狐付き」って言ってたの笑いました。
 「東京ではな…『すぶや』とは言わねえんだよ。言ってみな、『しー、ぶー、や』」
 「わかっだあ。こうだな、『すー、ぶー、や』」
 「…俺、アヤちゃんのそういうとこ好きだよ」
 「ありがとねえ」
 かーわーいーい。癒されました。オチはほっこりじゃないんですけど。EXILE TRIBEでしたけど。

 しっかし、よくもこう、渋谷で4月にやるのにぴったりの噺があったもんですね? もしやネタおろしなのかと思ったけど、そうではないようですが。びっくりした。

 
★新婚妄想曲 白鳥★

 久しぶりに開かれた、高校の同窓会。故郷に帰ってきたかつてのマドンナ。聞けば、東京で結婚はしておらず、しかも何の仕事をしていたのかは話さない。目立たなかった柔道部の男性に告白した彼女の心中は? そして結婚の行方は?
 起承転結の「転」がすごいんですよ。アホらしいけど腹落ちっぷりがすごい。ワーッ!てなりましたもん。客席が。
 あと居酒屋のおかみさんの「秘密」に笑った。しれっと畳み掛けてくるのほんと反則です。

 ただね。あのね、いっこだけ言いたいんですが、「タッチ」を読んだことのない人間もいるんですよ!ここに!
 もちろん、白鳥師匠に限ったことじゃないんですが。全体的にね、中高年向けなんですよ。ネタが。往年の美人女優の名前とか出されても「アッハイ」って感じですね。もう慣れましたけども。


 ここで仲入り。音楽練習室のほうの小さなお手洗いに行ってしまいましたが、ホールの方にちゃんと大きいお手洗いがありました。間違えてた。


★落語の大学 喬太郎

 この日のなかで一番笑った噺でしたけども。…中身が濃すぎて、書くのが面倒になってきています…。

 枕は、渋谷の街というか、駅について。何でも乗り入れればいいってもんじゃないんですよ!渋谷は最終目標としてどっしり構えているべき!みたいな力説されていました。路線名とか、詳細は覚えてません。
 もうね、やたら細かいんですよ。拾ってくるところが。「池袋の先の北池袋のようにですね、うっかりすると見過ごされてしまう駅、盲腸みたいな駅こそが至高なんです!」とか。「横浜駅桜木町駅の間で肩をすぼめてひっそり座っている高島町のモノマネ」をする噺家は日本で喬太郎師匠しかいないと思います。
 コロッケそばとかもそうですけど、変なところに哀愁を見出してしまう。肩肘張ったモノよりも、猥雑でしょぼいくらいが好きっぽい。そういうところが、喬太郎師の人気の一因かもしれないなぁなんて思ったりします。
 
 噺の方は。大学受験に失敗した男子高校生が、二浪したあげくかなり入りやすい大学に入ったという先輩を頼って、同じ大学に入学。入ったそこは「落語大学」で、「幇間(たいこもち)学部」「与太郎学部」「廓(くるわ)学部」など、奇天烈な名前が並んでいた。
 先輩と講義を受けるも、興味のない落語史に寝そうになると、先生が「アンタ、起きておくれよォ」と来る。これはもちろん「芝浜」ですが、知らないひとから見たら、ただの変な人ですね。学食では「ちりとてちん」(「酢豆腐」の方ですかね?浅学で分からない)、「青菜」ネタが出てきたりします。
 落語史は少し喋っただけですが、面白そうだなと思いました。昔の古典を掘り出してきて演られていたりとか、勉強家な一面も良いなあと思います。客席を沸かせる方に傾注しているから、あんまり普段は見えないですが。

 一応、枕の最後に「古典落語を全く観たことがない人!」ってアンケートとってて、2人手を挙げたと言ってました。729席の…大入り満員じゃなくて若干空席があったので700人弱くらいですかね。やっぱりけっこう普段から落語を聴くクラスタが来てたということでしょうか。普段からアンケートしてる訳じゃないのでなんともですが。


★神々の唄 彦いち★
 
 彦いち師匠が出てきて、座布団をためつすがめつしているところでまず笑いました。座布団の色がね、まったく一緒なんですよ。師匠の着物と。
 色かぶりはたまにあるんですが。用意した方も、春らしい色ということで選んだんでしょうね。誰も悪くないですw
 ちなみにここで気づいたんですが、ライトの色が最初とちょっと変わってました? 上下で2色になってたような。そういえば主催は毎日ですが、Zeppという名前をチケットで見たので、照明にでも凝るのかなぁと思っていたことを思い出しました。
 
 枕でしょっぱなから、白鳥師匠を弄られてましたね。白鳥師匠の地元(新潟の…高田だったと思う)に行った際、家にご挨拶に伺おうと思ったら、「山を超えて向こうだ」と言われたという。で、打ち上げのときに「家遠いんですかね?」って同窓生の方に聞いたら、「この店の向かい!」って言われたとかなんとか。笑った。
 あと、外国人の真似をして、みどりの窓口の担当者をだまくらかそうとした話。まぁ口から先に生まれた生え抜きのエリート相手ですから本気では取らないですが、それ高座で暴露して大丈夫なやつです?w

 噺はですね。それこそ口から先に生まれたような男がいて、ついつい見栄をはって嘘をついてしまう悪癖がある。八幡様のお祭りに、スーザン・ボイルを呼べるとほらをふいてしまい、奥さんに、「お前がスーザンになってくれ!」と頼みこむ。
 祭礼当日、妻がスーザンに扮していることは一発でバレるが、歌が上手かったこともあって意外に好評を博し…。というもの。
 こういう「身代わり」の噺は割とあって、古典だと「花筏」とか「動物園」とか。この噺は、身代わり自体は早々にあっさりバレてしまうところが面白いですね。


 という流れで、終演となりました。
 本日はどの方もリラックスされていて、絶好調と言って良かったんじゃないでしょうか。新作クラスタ同士の気安く楽しい感じが良かったです。
 きちんと「渋谷」「春」「めでたい」というテーマを意識した噺をされているところもよかった。

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 マークシティの桜。帰りに寄ったんですが服とかはちらっと見ただけで、彷徨ったあげくコールド・ストーンでベリーアイスを食べ、そのあとなか卯で鶏塩うどん膳(…? 既に記憶があいまい…)を食べて帰ってきました。ベリーアイスはベリーが潰してあるの美味しかった。うどんは正直、つるもち讃岐っぽいほうが好きですが、スープ(?)がおいしかったし鶏が柔らかくて良かったです。


 今回は新作オンリーの会を堪能してきたわけですが、実はとくに新作のみのファンという訳でもなく。わりと「昔から続いてきた価値観、歴史」とかも大事にしたいタイプです。古いものというのは、残るだけの理由が、重みがあったから残ってきたものだと思っています。
 かるーい感じで喋り倒してしまいましたが、それこそ「酢豆腐」なんて言われないように、ほどほどにしたいですね。

 本日は以上です。