あなたの歌がききたくて。

小説とVOCALOIDと知らない人のことばが好き。

赤い傘と傘っぽいなにかの話。

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雨が嫌いだ。

かの有名なエヴァの最終話、最後のシーンには有名な台詞(群)がある。自分の閉じこもる殻を破り、個として生きていく決意をした碇シンジに、登場人物達が言う、「おめでとう」。

が。私があのシーンで一番印象に残った言葉は、それではない。
「雨の日は、憂鬱」というレイの台詞。そしてそれを受ける、「雨の日だって、楽しい事はあるのに」という、リツコの台詞である。

自分はとても単純な思考回路をしているのか、晴れた日は、ただそれだけで気分が良い。風の強い日も、元気になれる気がして好き。
雨の日は、空が暗い。足元が泥に塗れる。傘を持つのも濡れるのも面倒だし、何だか気分まで暗くなる。

でも、物事なんて、見方ひとつで変わるもの。
本当に当たり前のことで、わざわざ書くまでもないのだけど。
ほんの些細なきっかけで、ちがう世界が目の前に開けたりする。

★★★

先日、傘が壊れた。
赤くて大きめの、裏側に星座の描いてある傘。
 
会社の先輩(厳密には違うけど)とお揃いでサンダルを通販してもらうついでに、カタログをみて気に入ったので一緒に購入してもらった(もちろんお金は払った)。
明るくて元気で、広い方面に気配りができて、憧れの人だった。こちらがうまく態度に出せないので、向こうはそんなこと知らないと思うけれども。
今年に入って、産休で現場を退かれたので、今は一緒に仕事をしていない。

そこへもってきて、傘が壊れた。気がついたら骨が折れていた。
それほど高いものではないし、折り畳みもあるのでそこまで困るわけでもないのだけど。
自分でも意外なほど、さびしいな、と思った。

広げると、内側に星空がみえる。珍しく、人との繋がりで手に入れた、お気に入りの傘。
気がつけば、雨の日が少しだけ、楽しくなっていたのかもしれない。

形あるものはいつか壊れる。
だから、今あるものを大事にしようと思う。思ったことは、言葉にして残しておこうと思う。
相変わらず、大した文章じゃないけど。

★★★

さいきん、自分の視野内に、悩んでいるのかもしれない人がいる。

本当のところどうなのかはしらない。
「もう、特にやりたいことがない」とか、しれっと言う。
正確には「しれっと書く」。
なにせ、ネットの向こうの人なので。
実際何を思っているか、パッと見でどういう人であるか、とかそういうことは完全に想像の埒外である。

ただ。顔を見たことがなくても、その言葉はほんものだと思う。
色々な勉強をされていて、単純にすごいと思う。日常の些細なエピソードを書くにも、味があって。何でだろうなあ。


お気に入りの傘がひとつあるだけで、雨の日が楽しくなることもある。

自分はどうも、傘にはなれそうにないのだけど。
その人にも、誰か、何か。
傘っぽいなにかがみつかればいいなあ、と思っている。


本日は以上です。