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あなたの歌がききたくて。

小説とVOCALOIDと知らない人のことばが好き。

世にも奇妙な…森瑤子と阿刀田高がこわい。


 えー。本日さきほど、久しぶりに観ました「世にも奇妙な物語」。
 後半3話を視聴し、どれもほぼ怖い要素がなく…。ありがたいやら拍子抜けやら、やっぱりちょっと寂しい。
 で、その中の「✕」という話が気になったので。 

dogatch.jp

 

!注意!
ここから、「世にも~」の当該の話と、短編小説(表題の作家)のネタバレが入ります。
あとちょっと怖いです。ホラーなので。
ダメなかたは回れ右です。

ということで。
まず、「✕」のあらすじを。

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阿部サダヲ演じる、ちょっとくたびれた銀行員。ある日、額にマジックで書いたような「✕」のマークが忽然と表れた。
周囲には見えないそのマークに悶々としているうち、街中で同じ「✕」をもつ男を見つけ、意気投合する。

彼は2ヶ月前から「✕」が付いているといい、自分の父親も死に際、同じ現象を訴えていたと言う。
「この「✕」は、死の予兆なのではないか?」と彼は仮説を打ち明ける。
銀行員は慄然としながらも笑い飛ばすが、男はその後、急死。彼の額からは✕が消えていた。

自分の命も残り少ないのだろう。今日という日を大切に…。銀行員はそう思いながら日々を送るが。
ある日、電車に乗った彼は気づく。向かいに座った女性の額に、「✕」がついている。
彼女だけではない。どの乗客にも、同じ印が…。

銀行員は電車を降りるように皆に促すが、もちろん相手にされない。
よろめくように電車を降り、駅員を呼び止めて気づく。彼の額にもまた、「✕」があった。
それはホームにいる顔、全て同じ。

TVではニュースが騒ぎ始めている。新種の出血熱が流行を始めたのだ。
助かる者は、誰もいない。
それを知っているのは、自分だけ。

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ってな話。
いや、ちゃんとホラーなんだけど、怖いと思えなかったのは、もうこれ古い手だなと思ってしまって。

森瑤子の短編集「イヤリング」(だったような…?)に、同モチーフの短編があります。
そちらは女流小説家が主人公。

イヤリング (角川文庫)

イヤリング (角川文庫)

 

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ある日、顔を洗って鏡を見ると、下半分がなんだか薄暗いのに気づく。
いやだ、疲れてるのかしら…と思いながら、こすってみるけれど取れない。
旅行に行くのに根を詰めているので、それでかもしれない。

息抜きに行きつけの喫茶店に顔を出し、その話をすると、嫌な冗談を言う人がいる。
「なんか不幸の予兆じゃない? 大丈夫なの」
「いやあねえ、よしてよ」
無事、仕事も終わり飛行機に乗って。トイレに立ったがやはり、くすみは残っている。

やっと席におちつき、ふと周囲を見た彼女はおどろく。
隣の乗客の顔も、下半分が薄暗くなっているのだ。
その隣も。みんな、一様に同じ顔をしている。
「どうなさいましたか、お客様」
寄ってくるスチュワーデス。ああ、この人も…。

もう戻れない。すでに飛行機は離陸しているのだから。
その時、キーンと音がして、機体がぐらりと揺れた。
時間だ。

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 ということですね。
 書いてて思い出した、飛行機事故で亡くなった女流作家といえば向田邦子ですが。
 遠東航空103便の事故が81年、「イヤリング」は角川文庫オリジナルで86年に刊行。
 ちょっとネットで調べても、それについての言及がどこにもないので、普通に割りきって読まれたか、別の本なのかもしれない。
 というか、曖昧な記憶を頼りに書いてるので、「こんな短編はこの世のどこにもない」という可能性も否定できない。なにそれ怖い。


 つづいて、阿刀田高
 世の中でショートショートといえば星新一みたいですが。確かにもちろん巨匠なんだけど、自分はミステリ・ホラー要素が強いほうが好きで、阿刀田先生はけっこう追いかけた覚えがあります。新聞のエッセイとか。

壜詰の恋 (講談社文庫)

壜詰の恋 (講談社文庫)

 

 で。下記の話は、タイトルも収録巻も覚えてません。(…)

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遠方の叔父さんからかかってきた電話。
「なんだか、声が弱々しくなかったか?」「何言ってるの、いつも通りだったわよ」
そのすぐ後、叔父の訃報を聞いた。元気な人だったのに、突然亡くなったそうだ。

そういえば、昔もこんなことがあった。
「オレは、人の亡くなる前の予兆が聞けるんじゃないか」 冗談で友人に話してみたが、笑われて終わり。

ある朝、起きて驚いた。妻。仕事先。どの人の声も弱々しい。
「これは大災害が起きるにちがいない」 泡を食って外に飛び出した。

道を走るトラックから、ふとずれおちる鉄柱。
妻が走り出たときには、彼の胸には鉄柱が突き刺さっていた。

葬式の終わった後日、友人がたまたま霊能者に会った。友人のことを話してみると、「そういう人はたまにいる」ということだった。
「そう…自分の生命力が弱くなって、周りの人の声がみんな弱々しく聴こえるとか」


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 という風に、同じ着想でも、落とし所が違うとかなり印象が変わる。ちなみに、道を間違えて会えない、ということを題材に同じような短編があるのだけど、それはそれで違う話として面白く読める。さすが。

 ついでに。「にほん昔ばなし」に「夜中のおとむらい」という話があって、これも上記とちょっと似ているんだけど、考えると訳がわからなくなる。
これは予兆ですらない。「過去の自分が自分のお弔いに声をかけてくる」という、理屈が通らないところがもう堪らなく…アレ。
リンク貼らないので探したいという奇特な方はどうぞ。

 なんで貼らないのかって、サムネを見る度胸もなくなってきたからですよ。こわい。もうさっきからPCのバナーに出てくる知らない外人の男女とかもこわい。

 

 スティーブン・キングが、「自分がホラーを書けるのは自分がものすごく怖がりだからだ。想像力が勝手に飛翔するんだ」みたいなことをどっかで書いてた(orインタビュー?)気がするけど、分かります。自分の想像力が一番こわい。

 

 というわけで、本当は嫌いなんです。ホラー。

 という話でした。