あなたの歌がききたくて。

小説とVOCALOIDと知らない人のことばが好き。

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読むと気分を害される恐れがあります。よしなにどうぞ。

***


はてな」のサービスを使っていれば誰でも知っているような人が、昨日亡くなった。出身地方での講演の帰りに、恨みを持った人間に刃物で刺されたのだという。嘘のような話だ。
亡くなったという感慨などは湧きようもなく、痛かったろうな、と考える。これから新しい場所へ漕ぎ出していくところだったのに、悔しかったろうな。


通信社や各新聞、TVのニュースにも、HNが取り上げられているのを見ると妙な気持ちになる。「はてな」では普通に通じる名前や慣用句が、白日のもとに晒されるとどこか色あせて見える気がする。

 
変な言い方だけれど、昨夜まで普通に生活していた人が、既にすっかり故人だ。
ご本人がいらしたら、私如きがうかつに名前を出して絡める方では絶対にないし、その感覚は一夜あけたくらいでは変わらないのだけれども。
有名ブロガーをはじめ、誰もが口々に思いを文章にし、人によっては警句だかポエムだか分からないブコメを書く様子は、見ようによってはえぐみのあるものに思える。その流れに伍してしまう自分ももちろん。



今回の件で、あまり触れられていない所について書く。

改めて言おう
これが、どれだけ叩かれてもネットリンチをやめることがなく、俺と議論しておのれらの正当性を示すこともなく(まあネットリンチの正当化なんて無理だけどな)
俺を「低能先生です」の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ
「予想通りの展開だ」そう言うのが、俺を知る全ネットユーザーの責任だからな?
「こんなことになるとは思わなかった」なんてほざくなよ?


容疑者が増田で書いていた(と現時点では思われる)言葉だ。
わたしはこの人を名前でしか知らないのだけれど、執拗に他人を罵倒してくるので有名なのだそうだ。
いくつかブコメを見たけれども、罵声がひどすぎて中身が全く頭に入ってこなかった。これをidコールで何度もやるらしい。


ちょっと毛色の違うことを書く。
「低能先生」のブコメの特徴は、「イケダハヤトやはあちゅうについて批判すると、それを罵倒される」というものらしい。
イケダハヤト氏とはあちゅう氏。はてなの二大サンドバッグ、もとい人気アイドルである。Hagex氏もたびたびネタにしていた。
これは誰も言及しないので分からないのだけれど、本人の気持ちとしては、「ネットリンチへの義憤」のつもりだったのだろうか。


増田、いや犯人は、本来の予定なら福岡での凶行の後、はてな本社へ向かうつもりだったと書いている。
であれば目的は、「一人の人間への報復」でも、「ルサンチマンによる無差別殺人」でもなく、「ネット上の不特定多数によるヘイトへの無差別報復」ということになる。

これは、"正義の味方"をどこまでも捻れて歪んだ形で拗らせた人間の行為じゃないのか。


一瞬、容疑者に同情的に聞こえたとしたら、それは間違いだと言いたい。

私は、相手を選ばない無差別の犯罪行為を、心から憎いと思っている。黒バス事件のときも、先日の新幹線の切りつけ事件のときも、たとえ周囲が感情移入して情状酌量していようとも、その思いは変わらない。

自分の心情が、事情が何だ。甘えるな。人の生きる権利を阻害するな、と思う。
この文章が、人を殺したあとで平然とかかれたものであることを、本当に恐ろしいと感じる。



Hagexさんの印象について書く。


わたしがはてなを始めた4年前、割と最初のほうで認識したブログだと思う。
愚(ぐ)なやり口だとか、口先だけのはりぼての言葉とか、やりがい搾取だとか。そういったものに厳しい人で、自分の身が危なくなっても、切り込んでいく/あげつらうスタンスを崩さなかった。それがHagexという人で、その歯切れのよい記事に快哉を叫ぶこともあれば、やりすぎではないかと感じることもあった。


ぐちゃぐちゃの怨念渦巻く「ほっこり」エピソードを紹介した翌日に、本当に綺麗な曲をいくつも紹介していて、一時期それを追うのにはまっていた。
もちろん、インターネット人格しか知らない訳だけど、とにかく目立つ、魅力のある方だと思う。「だった」と書かなければいけないことを、残念に思う。



上記とは直接関係のない話。


最近、増田を見なくなった。
昔は特に何も思わなかったのだけれど、今では上がっている話のほとんどが釣りに見える。実際に釣り宣言もある。
ネットウォッチャーとしては面白いのだろうけれども、誰かの自己顕示欲や承認欲求につきあうのは疲れるものだと思う。


インターネットで出来ることは無限にある。
知っている情報を共有する。本音や愚痴を書く。質問したり共感したりする。繋がってリアルでも親しくなる。
嘘をついたり、人を不快にさせて煽れば、簡単に構ってもらえる。誤魔化したり、不安にさせて儲けることもできる。
作品を上げる。それに反応する。
誰かに聴いてほしい独り言を言う。真実を突き止める。


人それぞれ、ネットの使い方があって。
願わくば誰かが幸せになるような、何かを感じられるような言葉が使われていて欲しいと思う。


本日は以上です。

誰かとカップラーメンが食べたくなる。是枝裕和監督『万引き家族』 感想

噂の映画『万引き家族』を観てきました。

gaga.ne.jp

話題の映画を軽率に勢いで観たのは久しぶりだったけど、『シン・ゴジラ』『この世界の片隅に』に匹敵する、何かを語りたくなる力があった。
普段、内容に触れる文章は事前に見ないし自分でも書きたくないけれども、今回は内容に触れないと書けないのでそのように。
まっさらな状態でこれから観たい人はバックプリーズ。

***

ストーリーは色々なところで目にすると思うので、もう飛ばします。
まず、内容でないところからの感想。

・全体を通して印象深かったのが、映像が本当に綺麗。雑多だったり少し汚れていたりといったモノや人物に焦点を当てている物語なのにもかかわらず、そのままの表情や画面構成が目に沁み入ってくるような気がした。
なぜか『限りなく透明に近いブルー』(小説ですけど)を思い出した。不思議な体験だった。
四季の自然や温度、昼夜の明暗などが自然に取り入れられているのも、物語を忘れられなくさせている要素のひとつだと思う。

・俳優陣がみんな役柄そのもので、役者が演じているという違和感がなく、シームレスに物語に入って行けてとてもよかった。なまじ原作を読まないで行ったのも良かったのかもしれないけれども。
特に、松岡茉優さん(呼び捨てにすべきなんだろうけど何か出来ない)の、陶磁のお人形みたいな繊細な綺麗さが心に残った。

・エンドロールの短いこと。普段ハリウッド映画みたいなものしか観ないので衝撃だった。素材の味で勝負すぎる。

以下、全体を思い返してみて、キーワードだと思った「貧困」「盗み」「疑似家族」という3つの単語についての感想。

***

f:id:WALKING43:20180619010637j:plain:w430

【貧困】

「今まで描かれなかった日本の貧困に切り込んだ作品」といった、事前に勝手に持っていたイメージとは異なり、どこかノスタルジックな世界観の中で話が進む。治と信代が、下着姿でそうめんを食べるところ。風俗店で働く亜紀が、「4番さん」の肩を掻き抱くところ。昭和の香りのするシーンにちょっと毒気を抜かれる。
信代の「困ったときはお互い様、助け合いでしょ」といった発言から、この映画内での「貧困」とは「三丁目の夕日」的なイメージなのだろうかと思う。「NHK現代日本の貧困特集」的な物語だと思って身構えていたのだけれど、自分がヒューマンドラマに慣れていなさすぎると思った。
あと荒川区ってやっぱりそういうイメージなのか。

あの子達は昼間歩いていてなぜ職質?補導?されないのか(隠れるシーンとか出てきてましたっけ?)、かなり社会的に反響の大きい事件だと思うけどあんな感じの取り調べで済むのか、マスコミに1年は追いかけられて生活出来なくなるレベルでは?など、たぶん突っ込んではいけないところが気になった。


【盗み】

観終わってみると、「盗んだのは、絆でした」というキャッチコピー、「万引きによって絆を深める家族」といった説明に若干疑問を感じる。この作品における「貧困による犯罪」は、主題、テーマと言うよりもモチーフだったように見える。
治と子どもたちの間では、窃盗の共犯関係による連帯感のようなものはたしかにあったけれども、それ以外の家族はそれによって家族間の絆を得ているわけではなかったと思う。あたかも窃盗を中心に"家族"が繋がっているように説明したことで、望まない反響に繋がっただけでなく、テーマが読み取りにくくなっているような気がした。


www.asahi.com

原題は『声に出して呼んで』だったということですが、「もう少しわかりやすいタイトルにしたい宣伝側のリクエストとして」『万引き家族』になったというエピソードをさっき知りました。邦画…。


【疑似家族】

この映画の主題は、「血縁関係のない家族」、言ってみれば「疑似家族」。
観終わったあとに何となく、ドラマ『カルテット』の4人を思い出した。

この疑似家族は『カルテット』と同様、後半で秘密が露見し、「世間」(この作品の場合は警察)に糾弾される。
が、それでも紐帯を解消しようとはしなかった4人とは異なり、この”家族”は空中分解して物語は終わる。

信代は「捨てた人は他にいるんじゃないんですか?」と、"家族"を庇いながらも、最後は結局、祥太の行く先への希望を血縁関係に託している。
けれども多分、この"家族"は、金銭や時間といった生活基盤が弱いから、血縁関係がないからうまく行かなかった訳ではない。
それは、表向きは基盤があって血縁関係もあるゆりの家庭が、変わらず機能不全であることが証明している。

祥太が”家族”から離反した原因は、直接的には窃盗への違和感だっただろうけれども、遠因としては初枝の遺品を漁る二人の姿もあったと思う。"家族"よりも結局、欲を優先する姿が、少年には納得できなかった。

信代がクリーニング店で言った「助け合い」も、中盤では自己都合のぶつかり合いによって終わる。そして、治と信代が祥太を除く全員で夜逃げしようとしたことが、”家族”が崩壊する最後の決定打だった。

***

児童虐待が問題視され、孤独死が増加している日本。地域の繋がりや、年代の異なる人との関わりも薄れていって、自分の殻に閉じこもって生きていく人はこれからもっと増えるのかもしれない。

その孤独に対して、「自分の選んだ人と、自由な形で幸せに暮らしたい」と思う人の数も増える。結婚や出産という一般的な方法以外にも、自分と共に生きてくれる人を探すやり方はあるはずだと思うし、それは誰にも咎められることではない。

ただ、誰かと共に生きるということは結局、何かを貰う代わりに、何かを差し出すことでもあるのかもしれない。
「絆」と書いて「ほだし」と読む。摩擦や犠牲のない弱い紐帯は結局、永続的なものにはなり得ないということもあるのではないだろうか。

「家族」の形は一つずつ皆違うはずで、外から見ているだけでは分からないこともある。自分の選んだ人と一緒にいるために何が出来るのか、それを考えるきっかけになる、良い物語だったと思う。


余談だけれども、作中で"家族"は何度かカップラーメンを食べる。冒頭のゆりを拾ってくるシーン、そして、全てが終わってから祥太と治がこたつで食事をするシーン。

一人で食べるカップラーメンは、場合によっては少し物寂しいときもある。
でも、"家族"と団欒しながら啜るそれは、とても温かくて美味しそうに見えた。


***

なんかサイコパスみたいな感想文ですみません。
いや、良い映画だったので、機会があれば是非観てみたらよいと思います…。はい。

本日は以上です。

「読書好きしか正解できないクイズ」を自分も考えてみた

おはようございます。

えっと。ちょっと、この記事をみて頂きたいんですけど。

www.buzzfeed.com

…どうですか。なんか、欲求不満になりませんか。わたしはなった。
接待プレイ、戦略としてはアリなのかもしれませんが…。

しかし、では何をもって、「読書好き」の称号(烙印ともいう)があたえられるのか?っていう。考えてみると面白いですよね。
人によって答えは千差万別だと思うんですけど。

自分なりに考えてみました。めっっっっちゃたのしかったです。

お暇な方はどうぞ。

「読書好きしか正解できないクイズ かってに中級編」

Q1.

トーハンや日販などが有名な、出版関係の企業の種類を一般になんと呼ぶか。

A.出版社 B.校正業者 C.取次 D.書店

Q2.

本のページとページの間、綴じてある部分のことをなんと呼ぶか。

A.小口 B.のど C.天 D.地

Q3.

2018年に文庫本サイズのブックカバーを買ったところ、「○○文庫の一部には対応しておりません」と但し書きがあった。この「○○文庫」と思われるのはどれか。

A.講談社 B.ハヤカワ C.春陽 D.河出

Q4.

次の特徴から連想される出版社を答えよ。

A.語学書や翻訳書に強い。岸田國士戯曲賞を主催。
B.海外文学・幻想文学からホラーやオカルトまで幅広く扱う。
C.角川の編集者が独立して設立。wikiによれば社のロゴは本人がモデル。
D.法学、経済学、 人文科学一般。六法全書で有名。

ア.有斐閣
イ.国書刊行会
ウ.白水社
エ.幻冬舎

Q5.

次の言葉で知られる哲学者を答えよ。

A.事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
B.すべての人間は生まれながらにして知ることを欲する。
C.悪法もまた法なり。
D.私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。

ア.ソクラテス
イ.ヴォルテール
ウ.ニーチェ
エ.アリストテレス

Q6.

いわゆる『ヌーヴォー・ロマン』周辺の代表的作品の作者を答えよ。

A.『心変わり』
B.『嫉妬』
C.『ゴドーを待ちながら
D.『フランドルへの道』

ア.クロード・シモン
イ.アラン・ロブ=グリエ
ウ.サミュエル・ベケット
エ.ミシェル・ビュトール
オ.該当なし

Q7.

次の20世紀文学の代表的作品の作者を答えよ。

A.『フィネガンズ・ウェイク
B.『失われた時を求めて
C.『審判』
D.『ダロウェイ夫人』

ア.サミュエル・ベケット
イ.ジェイムズ・ジョイス
ウ.トーマス・マン
エ.ヴァージニア・ウルフ
オ.該当なし

Q8.

文章技法における『神の視点』とは、次のうち何か。

A.作者の宗教観を表すキーワード。 
B.その小説世界を俯瞰した視点。
C.キリスト教圏の著作における唯一神の存在。
D.読者が読み解ける範囲の情報。
E.該当なし

Q9.

次に挙げる架空の探偵を生み出した作家を答えよ。

A.ミス・マープル 
B.ネロ・ウルフ 
C.V・I・ウォーショースキー 
D.ドルリー・レーン

ア.サラ・パレツキー
イ.レックス・スタウト
ウ.アガサ・クリスティ 
エ.エラリー・クイーン
オ.該当なし

Q10

下記のうち、実在する一人の人間の筆名であるものを選べ。

A.アラン・スミシー
B.エラリー・クイーン
C.岡嶋二人
D.リチャード・バックマン
E.該当なし

Q11.

下記のうち、講談社ブルーバックスのキャッチコピーはどれか。

A.「発見。」
B.「あなたの心にDENGEKIを!」
C.「科学をあなたのポケットに」
D.「Yonda?」
E.該当なし

Q12.

『このあたりで名代の美人』と言うとき、「名代」はなんと読むか。

A.めいだい B.なだい C.みょうだい D.めいたい

Q13.

次のうち、名字の後ろに『史観』をつけて、熟語として用いられることのある作家は誰か。

A.宮城谷昌光
B.池波正太郎
C.司馬遼太郎
D.北原亞以子

Q14.

次のサイトのうち、本が直接購入できるものをすべて選べ。

A.青空文庫 
B.読書メーター
C.honto
D.e-hon

Q15.

好きな著述家を100人書け。

1冊でも著述があれば、小説家や詩人や劇作家、各分野の学者や評論家など、分野は問わないものとする。また、「C・S・ルイス」など一般に知られている形であれば、フルネームでなくても可とする。

 ***

…はい。最後のやつ、どう考えてもクイズじゃないですね!!

最近、これ↓を久しぶりに聴いて、やってみたくなりました。

自分が見たかっただけともいう。

以下、答え合わせですが。
間違ってたらめっっっちゃ恥ずかしいやつ…。(特に5問目あたり)

まぁいっか。

 ***

Q1. C.取次
Q2. B.のど
Q3. B.ハヤカワ ※トールサイズとかいうやつだと思われる。
Q4. A=ウ.白水社/B=イ.国書刊行会/C=エ.幻冬舎/D=ア.有斐閣
Q5. A=ウ.ニーチェ/B=エ.アリストテレス/C=ア.ソクラテス/D=イ.ヴォルテール
Q6. A=エ.ミシェル・ビュトール/B=イ.アラン・ロブ=グリエ/C=ウ.サミュエル・ベケット/D=ア.クロード・シモン
Q7. A=イ.ジェイムズ・ジョイス/B=マルセル・プルーストのため、オ.該当なし/C=フランツ・カフカのため、オ.該当なし/D=エ.ヴァージニア・ウルフ
Q8. B.その小説世界を俯瞰した視点。
Q9. A=ウ.アガサ・クリスティ/B=イ.レックス・スタウト/C=ア.サラ・パレツキー/D=エ.エラリー・クイーン
Q10.E.該当なし
Q11.C.「科学をあなたのポケットに」
Q12.B.なだい。評判が高い。みょうだいと読むと、代役のこと。
Q13.C.司馬遼太郎。詳しい人がここには絶対いっぱいいるので触らない。
Q14.C.honto、D.e-hon

 ***

間違ってたらおとなしく刺されようと思います。
あと、コレジャナイ感がすごい。わたしは上級編を求めています。(チラッ

本日は以上です。

最近読んだ本を書きます(2018年5月)

お久しぶりです、四宮です。気づけば連休が終わろうとしております。
やりたかったことのうちの一つが想像以上に時間を食いまして、悔いてはいませんがどうしてこうなった。

あと、先日は「非公開の日記をうっかり公開する」というおもしろ事件を起こしまして、お目汚し大変申し訳ありませんでした…。オンラインでは二度と日記は書きません。

リハビリがてら、最近読んだ本の感想でも。

東野圭吾ラプラスの魔女


ラプラスの魔女 (角川文庫)

ラプラスの魔女 (角川文庫)


別々の温泉地で起きた、一見ありふれた中毒事故。分析の参考に呼ばれた大学教授・青江はその共通点を偶然見つけ、常識では考えられない事件の真相に近づいていく。という感じの…サスペンス?なんですかねこれは。

久しぶりに日常系以外のミステリーを読んだ気がするけど、本格とも違う気がする。東野圭吾の得意なジャンルなんでしょうね。さらっと読めて勧善懲悪で終わる系の、夜中まで読み終われないタイプの娯楽作品、好きです。

この5月に映画が公開されていますが、主人公の一人である青江教授が、およそ櫻井翔氏というイメージではなく…。危険な香りを嗅ぎ取ったので、観に行くかを保留していたのですが、やっぱりというか案の定だったみたいですね。
広瀬すずちゃんはわりとイメージ通りなので迷うっちゃ迷いますが…何のジャンルにせよ原作大好きマンなので(煮え切らない)。

梨木香歩『家守綺譚』


家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)


西の魔女が死んだ』などで有名な梨木香歩の作品。明治期(おそらく)のある地方にて、亡くなった旧友宅の家守を始めた青年。彼が出会う怪異の短編集。

古めかしくもさらりとした語り口で、ファンタジーと呼ぶのは無粋かなと。日々移り変わる四季が描かれて、短いながら満足度が高いと思います。日本の季節はいいものですね。
とにかく、非常に文章が美しい。

 ーー寒いときは、湖の底はしんとしているのですって。それほど寒いとは感じないらしいのですけれど、外が寒ければ寒いほど、湖はしんと静まってゆくのですって。鯉も、鮒も、みんな動かずに、宙に浮いているような感じ。

 小鬼は子鬼にあらずして、小鬼という立派な種の名前なのです。綿貫さんは何かものごとを根本から誤解しておられる。鬼族は北から南、様々な種が分布していて、出世魚のように同一個体が成長につれて名を転じてゆくというようなものではありません。

ここの、主人公が理不尽に怒られている感じいいですよね。安部公房とか倉橋由美子みある。

解説がちょっと残念だったかな。本文の調子とまるで合ってない解説って割と見かけますが、どういうマッチングしてるんだろう。

あと、この文庫(新潮)は平成23年の8刷なんですが、価格が362円なんですね。で、平成29年に刊行された続編『冬虫夏草』は、おねだん594円。
普通に考えたらページ数の差なんだろうと思いますが、最近の書籍って妙に高くなった気がする…(疑心暗鬼)。いや、買いますけれども。

 ***

そういえば関係ないですが、数年前、新潮の応募券を集めるとくれる「Yonda?CLUB」が終わってしまったのが悲しかったです。いくつかプレゼント持ってるんですが、次はあのパンダのぬいぐるみを狙っていたのに…。あの文豪ウォッチがいけなかったんじゃないかと(暴言)。
(…この話、まえもしました? そろそろボケてきたかもしれないな…。)

R・D・ウィングフィールド『フロスト始末(上)』創元推理文庫



宝島社『このミステリーがすごい!』の常連だった人気シリーズの最新作。遺作なんですよねこれ。本国では亡くなった翌年、08年に刊行されているのに、なぜ日本で訳書が出たのが17年なのか。著作権の都合か何かなのかもしれませんが、まあそれはどうでも。

イギリスの一地方の警察に勤める、マイペースで下品な発言を連発する警部・フロスト。しかしその自堕落に見える勤務態度の裏には、犯罪者や落ちこぼれた人間の心情も大切にする心が隠れていて…。みたいなテイストの警察小説。

昔はずいぶん好きだったんですけどね。久しぶりに読んでみて、なんだか冷めてしまったというか。

もっと若かった頃、小説というフィクションを浴びるように読んでいた時代。
違う国や時代、立場の人間になりきって出来事をおいかけるのが楽しくて仕方なかった。今でも基本的には変わっておらず、没入感で言えばVRなんて目じゃない体験ができる媒体だと思っていますが(好きですけどね、VR)。

年を取って、「違う国や時代、立場」というものを、リアルで考えるようになって。小説の中のリアリティと、現実=リアルが切り離せなくなった。

経費をごまかし、若い女性はとりあえず食事に誘い、子供には過剰なほどに同情するが、底辺寄りの人間には厳しい。
そんなフロスト警部が、ふと本当の意味で「リアリティ」を持ってしまって。
色あせて見えてしまって、さびしい。

先述のように、10年前に完結していた作品です。だから、変わったのは主人公じゃない。わたしの感性の問題です。

それが、良いことなのか悪いことなのか、正直分からない。
はてなの見すぎなのかもしれないですね…(不適切な発言)(言うほど見てないか)。

ポール・オースター『ガラスの街』


ガラスの街 (新潮文庫)

ガラスの街 (新潮文庫)


妻と息子をなくし失意の中で暮らす小説家・クインは、一本の間違い電話をきっかけに、探偵として事件を請け負ってしまう。依頼者は、かつて「新しい言語」を作り出すために、父親に監禁されていた青年だった。

オースターを読むのはこれで3冊目だと思う(多分)。現代アメリカ文学の旗手と言われても、正直よく分からないですけれども、好きは好きですね。
森羅万象、全ての事象を言語というものの崇高な力で解決しようという、滑稽な試みですけれども下手人は至極まじめなわけで、発想としては面白い。
まあ、無理なんですが。

あの音楽のなかにいること、あの反復の輪のなかに引き入れられること。おそらくあそここそ、人がついに消えうる場だ。

うまいこと、同化して消えられればいいんですけどね。そういう風に生きられる人間は、小説なんか読まないのかもしれない。と思います。


月曜日まであと1日。鬱々としますね。


本日は以上です。


今週のお題ゴールデンウィーク2018」

夏は終わらない。「カゲロウプロジェクト」が残した軌跡

「カゲロウプロジェクト」という作品の名前を、耳にしたことはあるだろうか。

多少ネットに詳しい人なら知っているかもしれない。動画サイトの楽曲から生まれ、小説、漫画と広がっていった、青春群像ファンタジーとも言える作品。音楽パッケージの累計発売数は70万枚(2016年4月時点)、書籍の累計は850万部(2017年3月時点)とwikiにはある。
2014年4月、「メカクシティアクターズ」というタイトルでアニメ化。
VOCALOIDを使った楽曲の中でも、かなりのヒットを飛ばしたコンテンツである。


* * *


私と「カゲプロ」の出会いは、2011年9月。当時、ニコニコ動画のランキングに、「カゲロウデイズ」の動画が乗っていたことがきっかけだった。
8月のある日、友達が事故で死んでしまう。時間を巻き戻して、成り行きを変えようとしても、その結果は変えられない。果たして二人の行方は? という、謎めいた曲。
解釈や賞賛のコメントを見ながら、特に10代への人気を何となく感じたのだけれど、その感覚が間違っていなかったことを、のちに諸々が証明することになる。

順調にマイリスト・再生数が伸び、「ボカロ」としてのヒット曲の仲間入りをしてからしばらくして、動画の投稿者コメント欄に、追記された一言が眼を惹いた。
「これから、”カゲロウプロジェクト” が始動する」という旨の言葉。
「プロジェクト」って一体何だろう? 


当初、そのあたりが明確にイメージ出来ていた人は少なかったと思う。複数の楽曲から物語を派生させひとつの作品とする発想は、Sound Horizonなどの有名所や、「悪ノ召使」などで知られる悪ノPなどが既に成功していたとは言え、当初の段階から商業でコンテンツを展開するという例はいままでにあまりなかった(…多分)。

アルバム「メカクシティデイズ」と同日に小説「カゲロウデイズ –in a daze-」が発売され、オリコンの週間ランキングで、CDアルバム6位、文庫本10位にランクイン。漫画化もされ、一躍人気の作品となる。

物語は、親友の少女の死をきっかけに引きこもりとなった青年が外に出て、不思議な能力を持つ若者たちと事件に巻き込まれるところから始まる。PCに住み着く電脳少女、人気アイドルである青年の妹なども加わり、誰かに糸を操られる運命への抵抗が語られる。
(…なにぶん初見が昔すぎて記憶が曖昧なので、ファンにおかれましては細かい突っ込みはご勘弁ください)


* * *


ある意味、シンデレラストーリーとも言える「カゲプロ」の人気の理由について。世間では当時、色々と取り沙汰や分析が行われたけれども、ここで自分でもまとめてみたいと思う。

まず、楽曲としての魅力。曲ごとにカラーが違い、またどれも耳に残る出来で、歌ったり弾いたりといった派生動画も多く上げられたし、今でもMMD等で使われていたりする。

次に、「物語音楽」という形式。楽曲でイメージや謎、感情を喚起し、視聴者にほろりとさせたり謎を解く楽しみを与えつつ、メディア展開で会話やストーリーを綴っていくという形は、想像力を最大限に働かせて楽しむことのできる、ネットの良さをよく活かしたやり方だと言える。
 
ストーリーとしては、いわゆる「ループもの」であることが取り上げられることもある。
時間遡行による運命への抵抗は、「ひぐらしのなく頃に」や「魔法少女まどか☆マギカ」などのヒット作品でも重要な展開として扱われており、確かに心躍るテーマである。


など、大人たちが考えた「人気の理由」に、しかしそれだけではないんじゃないだろうか、と個人的に意見を付け加えたい。

アニメその他で「カゲプロ」を知った人なども覚えていると思うのだけれど、主人公たちには共通点があり、それは「目にまつわる能力を持っている」というものである。
姿を消したり読心ができたりと、若気の至りで一度は妄想するいわゆる「超能力」なのだけれど、さらに「能力を使うと眼が赤くなる」という設定がある。心底格好良いのだけれど、ここまで吹っ切れて妄想させてくれる設定はなかなかないのではないだろうか。

キャラクターのシャープな立ち姿、目つき、パーカーのフードを被ったクールなビジュアルなども人気に拍車を掛けていた。実にこう、言ってしまえば「厨二心」をくすぐる要素が満載なのである。
「謎解き」要素もあいまって、いつまででも妄想できる土壌を提供してくれる。

…というのは、表向きの分かりやすい理屈だ。個人的には、「カゲプロ」の根底にある「人気の理由」は、もっと素直なところにあるのではないかと思っている。


実は、「カゲロウプロジェクト」においてキャラクターが真に特殊な点は「超能力」ではない。その「立ち位置」である。

天才少年でありながら、学校へ行かず引き篭もっているシンタロー。アイドル活動のため、学校へ満足に行けないモモ。「アジト」でバイトや「依頼」をこなしながら暮らしている、「メカクシ団」のメンバー。
10代の少年少女を描いておきながら、「学園モノ」ではない。血縁にも恵まれていないキャラクターが多く(主人公兄妹は父と死別しており、「メカクシ団」は孤児院育ち)、ある意味「『普通』から外れた人たち」とも言える。
超能力があっても、それを私利私欲のために使うどころか、能力のせいで人に嫌われた過去を持ち、例えばいじめにあった”普通の”子供のように悩み、能力を正しく活かしたいと願う姿が描かれる。


と、語ってはみたものの、作品に触れればわかるように、「カゲロウプロジェクト」自体は全く重い雰囲気の作品ではない。
キャラクターはみんな、それぞれの魅力を持ち、どこか抜けていて、たぶん苦労しただけ優しい。

不思議な縁をもつ彼らは、淡い恋や友情、血縁ではない家族の情、色々な形の「絆」を繋いで、生きている。
誰にでも手を差し伸べるアヤノ。ヒビヤに手を差し伸べるモモ。数えればきりがないほど、「絆」「思いやり」を大事にしている物語であると思う。
大事に思っているからこそ、傷ついてもわかり合おうとするし、失うと身を切られるほど悲しい。
そういう当たり前のことが、こういう若向けの作品で、素直にナチュラルに描かれている。 

謎、物語の道具立て、そういったものよりももっと、根底に流れているもの。
それこそが、「カゲプロ」が大人が触れても惹かれる作品である要因だと思う。


そして、最後にひとつだけ付け加えるならば。舞台となる季節が「夏」だったこと。

四季のうち、楽曲や創作において、一番多く取り上げられるのは「夏」ではないだろうか。爽やかな朝、生命力に溢れた昼、郷愁を感じさせる夕暮れ、何もなくても何故か浮き立つ夜。夏には何か、人を魅惑する力があると思う。


* * *


「その後」の話をするのは、実は少しつらいものがある。

「カゲプロ」の人気は加熱し、「VOCALOID」のランキングが、関連の動画で埋め尽くされていたこともあった。低年齢層のファンが一気に増えたのは、コメントを見ていれば分かった。
それはもちろん、作者の責ではない。誰のせいでもない。時代の流れだった。

私は、「ボカロ」の一番良いところは、人や声の「多様性」だと思う。
再生数が多いのが、有名になるのが偉いんじゃない。誰にでもあるその人だけの個性とか、同じソフトを使ってもちがう声になる面白さとか、そういうものを楽しむ場所だと思っている。

だから当時、流入した新興のファンによってランキングが一色に塗り替えられ、「最近のボカロは」と外から言われるのが辛かった。数名の才能が全体のイメージとして語られることに違和感を覚えていた。

当時、一般へと進出していった「VOCALOID」という分野も、その煽りを随分と受けた。
ネットで無償で楽しんでいた創作ブームが、商業という方向へ向かっていくことへの反発。
「プロジェクト化」が速すぎないか、という声、マイリスト工作。まとめサイトの軽薄な煽りや、「カゲプロ厨」へのなりすまし。


今、自分の持っている才能で、ネットから夢を叶えることは、何も不思議なことじゃない。
この流れを作った人たちのひとりが、作者である「じん」氏だと思う。


当時の狂騒を振り返って、良い距離と温度感になったな、と個人的には感じる。
「カゲプロ」には今でも、それを楽しんでいる人たちが居る。
当時、女子高生の子が書いた感想文が印象に残っている。
「秘密基地みたいで、あの世界にすごく憧れた」「キャラクターが友達みたいに思えた」、たしかそんなニュアンスだったように思う。 
いつのまにか、コラボした学習参考書が10冊を数えていたのには驚いた。昔では考えられないことが色々と起こっているなと思うし、いつまでもそれを楽しめる大人でありたい。


そして、今年。2017年。因縁の8月。
「カゲロウプロジェクト」のアニメ第二期が、正式に発表された。

これからまた、色々と展開があるだろうと思う。
この文章を読んでくれた人がいたとして、ご縁があったら是非、あの不思議で人懐こい世界を覗いてみて欲しい。


www.youtube.com



特別お題「夏の《映画・ドラマ・アニメ》」

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はてな題詠「短歌の目」2017年8月

tankanome.hateblo.jp


こちらの素敵な企画に初めて参加させて頂きます。
何卒よろしくお願いします。


8月題詠 5首


1. 流


この淵も悲恋の名残かいたずらに口の端のぼりわかれ流れて


2. 囃


海暮れて新町名もしらじらとやぐら囃子に人影の増え


3. フラット


蝉だけが騒ぐ真白きグラウンドまだそのみちはフラットであれ


4. 西瓜


薄惚けた西瓜のごとき泣き顔がきれぎれ光る夜の街かど


5. こめかみ


かき氷きみを撃ち抜けこめかみに優しく触れる口実のため



テーマ詠

今月のテーマ「怪談短歌」


窓のなか聞こえぬ悲鳴に耳澄ます眩しき真昼の住宅街に



錆び浮いた愛チャリは口が聞けずとも今日は晴天、お別れ日和



枇杷ゼリーお嫌いですか仏前に何度供えても動かしてある



腕自慢の叔父さんはお茶を飲みながらお前の耳も多いと勧める



夏のあさ抱かれ歌わる硝子の目みな気も留めず傍を過ぎゆく


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【短歌】黒歴史を更新してみたよ【夏】

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https://www.pakutaso.com


iPhoneをおどる指から旋律がながれるようでふと乗り過ごす


天井を揺れるひかりよ個室から水底見上げじっと見蕩れる


夕暮れをぼっと見ている自販機も梅雨が明けたしupdateされたい


けむるあめ昏いみどりにさわぐかぜ息をあわせてひかれコンビニ


「幸せの重みなんやで」ゼクシィの袋振りつつ君がふざける


開くまでは生きているねこ息詰めて送信を押す昼休み前


「ポケ映画見た感想」とはみ出さんばかりに書いてひたとペン止む


「本年の新曲です」と櫓から流れる曲の古めかしさよ


「この夏」を謳う広告目を上げて車窓に近く遠い蝉の音


* * *


…日常ひたすらぼけーっとしてることがよくわかりますね。
あと色々ちゃんとしていない…。


本日は以上です。